普段の水中写真は一眼レフ(マクロ/ワイド)かコンデジ(Canon S90)にINONのアーム、ストロボ(Z-240)、コンバージョンレンズを付けて使っています。
業務撮影やガイド時のブログ用の写真撮影にはこれで十分なのですが、先日真栄田岬のバーチャルツアーを作った時、自分がいかにそこらへんにいる魚(いわゆる普通種)を撮ってなかったを痛感しました。
持ち合わせの機材は超小物か超ワイドの写真撮影には長けていますが、中くらいのサイズの魚(いわゆる普通種)には滅法弱いんですね。
そこで、現在コンデジ単体で使っている(というかほとんど使ってない)Canon S100を普通種専用機としてカスタマイズすることにしました。
コンセプトは普通にいる(中くらいのサイズの)魚を撮ること。
画質レベルはWeb用及び図鑑に印刷できる程度(引き伸ばしをするほどの精度は必要ない)で十分。
しかし内蔵ストロボだけでは経験的にちょっと厳しいので外付けストロボを使用する。
ただし、マクロ/ワイドコンバージョンレンズは使用しない。(使用するなら今使っているS90で事足りるので)
できるだけシンプルで動きやすさを優先し作品的な写真を撮るなら一眼レフがあるので、完全に割り切って普通種専用機とする。
という、全く一般の方とは逆行な感じのセットを作ってみました。
まずはちょっとコストがかかりますが、外付けストロボやその他パーツを購入。
持ち合わせのストロボ(YS-110など)を流用することも考えたのですが、S90で使っていると、ストロボやコンバージョンレンズの重さにより、水中で片手ホールドができないので、思い切ってコンパクトなストロボを買う事にしました。
ちなみに写真中で左上がストロボ(S-2000)ですが、右上が青拡散版(Canonのコンデジには必要)、右中央がダイレクトアームベース、下が光ケーブルと別売りパーツが結構必要です。
さて、ここからは及川的な撮影(フルマニュアル)のために必要なセッティングです。
ストロボの背面にネジ穴がありますが、おそらくINONのストロボを使っているほとんどの方が意識したことはないでしょう。
そして、存在すら知らないと思われるパーツが同封されています。
このネジと小さなマグネット。
これを背面のネジ穴に入れてネジで蓋をします。
こうすることで、プレ発光をキャンセルすることができます。
普通の方はTTLで使っている(もしくはプレ発光をさせながらマニュアル調光している)と思いますが、私は個人的にそれが意味のない発光に思えて大嫌いなのです。
ちなみに、INONの説明書によれば、このネジは六角レンチを使わずに必ず手締めするようにと面白いことが書いてありました。(だったらネジ穴のあるネジを使わなければいいのに)
とにかくコレでCanonのSシリーズのコンデジの露出モードをMにした時のストロボ発光に対応可能になります。
これも面白いと思うのですが、CanonのSシリーズは露出モードをMにすると自動的にストロボもマニュアル調光になります。(発光量は大中小しか選べませんが)
これは全く理にかなっていることになりますが、実は他社メーカーでは露出モードをMにした時にストロボはTTLを選べたり、マニュアル調光ができない仕組み(これを露出マニュアルと呼んでいいのかすら疑問)などのモノがほとんどで、ユーザーがINONのストロボの組み合わせでわけわからなくなる理由の一つだと思ってます。
及川的には露出に関しては、全ての項目をマニュアルにして何一つカメラの自由にはさせない撮り方をしています。
この方法だと、一眼レフでもミラーレスでもコンデジでもカメラのメーカーや種類が変わっても撮り方は全く一緒なので、非常に便利なのです。
ただし、先に書いたようにCanonのSシリーズだけ(もしかしたらオリンパスも)が私のやりたいことをやらせてくれるカメラなのです。
はい、ここからはハウジングの仕組みの話です。
実は外付けストロボを使うにあたり、光ファイバーケーブルをカメラの内蔵ストロボの前に持ってくる必要があります。
最近のコンデジの純正ハウジングはこのことも考慮して他社のケーブルを接続できる仕組みになっているのですが、私が持っているS90もS100もかなり古いカメラなのでその機能はありません。
S90の方はINONのアタッチメントを付けることで、光ファイバーケーブルやコンバージョンレンズをバヨネット式で交換できるのですが、始めに書いたように今回はコンバージョンレンズは使うつもりはないし、とにかくシンプルにしたかったのでINONに相談して非公式なやり方を教えてもらいました。
それがこのパーツ。
光ファイバーケーブルを平らな面に垂直に固定できるパーツです。
実はこのパーツは他のハウジング用に設計されているらしいのですが、INON曰く「多分S100でもできると思うのであとは自己責任でお願いします」とのこと。
当初はこのような形のものを自作しようかとまで考えていたので、渡りに船状態でした。
早速取り付けてみます。
少しテープをカットする必要がありましたが、それなりにフィットしました。
専用設計ではないのでちょっとカッチョ悪く見えるかもしれませんが及川的には自作するよりは全然OKな状態で大満足です。
そして最後にストロボに青色の拡散版を付けます。
始めからついてくる白い拡散版とCanonのコンデジの組み合わせだと色が赤っぽくなってしまうのでCanon(コンデジ)ユーザーには必須のアイテムです。(本当は別売りじゃなくて買う時にチョイスできるようにしてほしいけど)
最後に全部組上げて動作確認をして終了。
早く水中でテストしてみたいです。
ただし!
繰り返しになりますが、これは普通種をそれなりに撮るための専用機であって、決して作品的写真を撮るための道具のつもりはありません。
このセットによる作品写真を期待しないでくださいな。